アメリカ便り

アメリカ便り Letters from the Americas 様々なアメリカ&メキシコ事情と両国の小話

メキシコ小話OK

     ペピート・ショート小話 5連発

 

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    この子がペピートです。

        画像:(https://www.facebook.com)

【蛇足的まえがき】今回はペピート主役のショート小話を集めてみました。ペピートはメキシコ小話の子役として人気が高く、幼稚園児か小学校低学年の男の子と言う設定です。元気と機転が利くことだけが取り柄で、成績が悪いうえにクラスではいつも騒ぎを起こして、先生に怒られている、ませた悪ガキですが、どこか憎めない、いかにもメキシコ的な坊やなのです。

 ペピート主役の小話の舞台は学校か幼稚園が主ですが今回は彼の自宅が舞台になっています。私は多くのメキシコ人と同様に成績は芳しくないが、自由奔放なペピートが大好きです。この5連発は「悪ガキ」が主役ですが、大人にも面白い話ですから、皆さんもペピートから笑いと若さのエネルギーを分けて貰ってください。 
(テキサス無宿記)

 

一笑一若・メキシコ小話ペピート・ショート小話5連発」

 

シャンプー

シャワーを浴びているペピートがママに怒鳴った。

「ママ、ママ、シャンプーが終わっちゃったよ」

「あたしのシャンプーを使いなさい!」とママ。

「使えないよ」とペピート。

「どうして?」とママ。

「ママのシャンプーは乾いた髪用だよ。僕の髪の毛は濡れているもの」とペピート。

お後がよろしいようで…。

 

冷蔵庫のぬいぐるみ

冷蔵庫を開けた、ペピートのママがびっくりして、ペピートに訊いた。

「何だって縫いぐるを冷凍庫にいれたの?」

「北極クマにしたいんだよ」とペピートは答えた。

お後がよろしいようで…。

 

隣人はプロテスタント

ペピートの家の隣にアメリカ人一家が引っ越してきた。5才のペピートがビニールプールで水遊びしていると、隣の同じ年ごろのアメリカ人の女の子が「あたしも入っていい?」と言って、素っ裸で入ってきた。そして、二人は仲良く水遊びをした。

翌日、ペピートは幼稚園の悪友のマリオに「ママが隣のアメリカ人はプロテスタントだけれど、仲良くするのよ、と言ったけど、あんまり違うんで驚いちゃったなぁ。だって、プロテスタントはおちんちん持ってないんだよ」と言った。

お後がよろしいようで…。

 

女の先生を好きになる

ペピートが父親に質問した。

「パパ、女の先生を好きになったことある?」。

「あるとも。男はみんな女の先生に惚れるもんだよ」。

「すると、どうなるの?」とペピートは訊いた。

「いつもダメになるんだ。君のママが直ぐ君を転校させちゃうのでな」。

お後がよろしいようで…。

 

注意力散漫

学校から帰ってきたペピートは、「ただいま」も言わないで、「ママ、ママ、先生が僕は注意力散、何とかって言ったけど、何のこと?」と聞いた。

「ペピート、君みたいな子のことよ。君のお家は一軒先でしょ」と隣のおばさんは答えた。

お後がよろしいようで…。


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アメリカ便り青グラデーション


WBC 優勝候補は①米国、②ドミニカと③日本

 

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       写真:https://www.nishinippon.co.jp

今週の6日、大谷、ダルビッシュ、吉田とヌートバーのメジャー組は初めてWBC強化試合に実戦出場した。その夜、京セラドームの大谷は、対阪神戦で規格外のパワーを発揮して、二発の3ランホームランを連発して、球場はもとより、日本中が興奮のるつぼと化した。

 

Shohei Ohtaniは、20217月、ニューヨークタイムズ紙のカート・ストリーターがOhtaniはアメリカの娯楽界(原語はpastimeが必要とするスターである」と書いたあと、「べーブルースってこうだったんだ」と米国の永遠のヒーローと同列に扱ったのである。そして今、わが国でも同じ現象が起こっている。

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   写真:Getty Images

今日(39日)の午後、Samurai Japanは第5WBC大会のB組の第1戦(東京ドーム)にのぞむ。B組は日本、オーストラリア、中国、韓国、チェコの5ヵ国である。Samuraiの初戦の対戦相手は中国である。

A組は台北、C組は米国フェニックス、D組はマイアミで開催され、各組は5チームによる総当たり戦が戦われる。

なお、アジア地域の準準決勝は、A,B組の予選突破国が東京ドームで対戦し、続く準決勝、決勝は、マイアミのローンデポ・パーク球場で開催される。

 

我がSamurai Japanは第一回大会(2006)と第二回大会(2009)に優勝しているが、その後の大会いずれもは準決勝で敗退している。第三回(2013)はドミニカ、第四回(2017)は米国が優勝している。2020年大会はコロナ禍により中止になったため、第五回大会は6年ぶりの開催になった。

 

さて、ロサンジェルス・エンジェルスの大谷祥平が3日にSamurai Japanに合流するために来日すると、日本中が大谷ブームで舞い上がっているのは、皆さんご承知の通りである。

 

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    写真:(https://www.full-count.jp)

日本の新聞、TVの報道を見ると、誰もが3回目の優勝を信じて疑わないのは、大谷の他にメジャーから参加する、ダルビッシュ投手と吉田、ヌートバー両外野手、国内組の村上選手、佐々木投手らを有する、Samurai Japanへの高い信頼があるからだろう。

 

米国のマスコミの報道を見ると、WBCの優勝国を占うOdds, 即ち「賭け率」のニュースが目に入った。マスコミ各社が大会の予想の根拠にしているのは、ラスベガスでも通用する、FOXBETの賭け率である。

後段で詳しくお伝えするが、最新のFOXBETによると、優勝候補は1位が米国、2位ドミニカ、3位日本となっている。この三ヶ国は過去4回の大会において日本が2回、米国とドミニカが夫々1回ずつ優勝している。そして4位以下のチームの賭け率は大きく水をあけられている。

 

優勝候補1位の米国は全員が大リーガー、しかも強力な選手、3度のMVPに輝く大谷のチームメイトである、強打者トラウトがキャプテンを務め、昨シーズンのナショナル・リーグのMVP・ベッツ(ドジャーズ)、ア・リーグのホームラン王・シュワバー(フィリーズ)等の好選手が目白押しである。

一方、ドミニカは登録選手30名中、28名がメジャー選手という高水準のチームであり、先週まではOdds1位だったが、主砲のゲレーロJR.が故障で代表入りを辞退したため、賭け率は米国に次ぐ2位に下がっている。

 

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      写真:(https://www.full-count.jp)

従ってSamurai Japanの投手陣には、WBCの使用球である、大リーグの公式球に慣れていない選手がいたり、WBC強化試合で低打率に悩む打者がいるようでは、ダルビッシュ、大谷、吉田、ヌートバーのメジャー組に大きな負担がかかりそうである。それにしても故障による、カブスの強打者鈴木の代表辞退はいかにも残念である。

 

国内では、野球ファンの皆さんはもちろん、大方の野球評論家もSamurai Japanの三度目の優勝を信じて疑わない、楽観ムードが蔓延しているのが、気にかかる。だが、Samurai37日の最後の強化試合において9-1でオリックスを下したが、この試合でこれまで快音が聞かれなかった、村上、山川に待望の一発が出て、ようやく侍打線が上り調子になったのは、嬉しくかつ頼もしいニュースである。

 

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    写真説明:2023WBCのオッズ(賭け率)

      写真:(https://www.twitter.com)

野球の本場である、米国のスポーツ賭博業界は、上記の図のようにWBCの優勝を占う「賭け率」を発表している。これによれば、Samuraiは本命どころか、3位にとどまっている。彼らは米国、ドミニカを優勝候補にしている。

数字が最も少ないチームが本命だが、本命の米国の「+260」とは、米国に100ドル賭けて的中すると、賭金100ドル+260ドルの利益=360ドルをget出来る、という意味である。日本に100ドル賭けて、日本が勝つと、100ドル+410ドルの利益の計510ドル入手する、ということになる。10位のメキシコに100ドル賭けてメキシコが勝つと、3500ドルの利益+100ドル=3600ドルgetするわけである。メキシコが勝てば大穴だが、先ず無理ですな。

 

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    写真:(https://nikkansports.com)

さ~て、名将栗山監督には大胆かつ緻密な采配を振るってもらい、大谷さんにはホームランの量産をお願いし、ダルビッシュには三振の山を築いてもらって、Samurai Japanが三度目の優勝を果たすことを夢見て、応援しようではありませんか!(終わり)

アメリカ小話

      「妻は毎日違う男と…」

 

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     写真:(https://www/telecinco.es)

【蛇足的まえがき】

女性は三種の顔を持っている、と言われる。恋人、妻、そして母である。

妻となっても毎夜恋人のように情熱的に振る舞ってくれる伴侶を持つ夫は幸せである。大方の女性は「母」になると、子供に掛かり切りになって、夫のお相手は単なる義務になってしまう。すると、夫の「7年目の浮気」が始まる。

 

大体、結婚後数年たつと、夫は「釣った魚には餌はいらない」とばかりに、妻への心遣いがおろそかになることもある。欧米の女性は朝夕の「お早う、お休み」のキスが夫婦円満の要だと信じて疑いない。

「メイクラブ」がなくても、朝夕のキスさえ忘れなければ、妻は穏やかでいられる。

だが世の中には、人妻にちょっかいを出す男性が案外多い。そんなとき、朝夕のキスを忘れる夫は、もうあたしを愛していないと感じる人妻は簡単に「よろめく」のである。

 

「あたしの魅力は捨てたものじゃない」と信じる人妻のなかには夫を見返してやるとばかり、浮気を始めるものが結構いるものだ。「目には目を歯には歯を」というわけである。

今週の小話は、そんな夫婦の悲しきストーリーをお届けしたい。あっと驚く「オチ」がスゴイのですな。では、E N J O Y !!! (テキサス無宿記)

 

一笑一若・アメリカ小話「妻は毎日違う男と…」

「単刀直入に本題に入ります。」と検事は被告人に言った。

検事:「あなたが会社から早めに帰ってくるたびに、あなたの奥さんは見知らぬ男とベッドをともにしていた、とのことでしたね」と訊いた。

 

「その通りです」と被告人は答えた。

 

検事は訊問を続ける。「そして、最終的にあなたはピストルを取り出すと、妻に向けて発砲して死に至らしめた」。

 

「その通りです」と被告人。

 

「私が理解に苦しむのは、その時、なぜあなたは奥さんに発砲する代わりに、

彼女の相手の男を殺さなかったのですか?」と検事は訊いた。

 

「妻を殺すことが最良の解決策だと思ったのさ、毎日違った男を殺すより…」。

と被告人は答えた。

 

お後がよろしいようで…。


アメリカ便り緑

「泥の上を這ってもアメリカへ行きたい」

 

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  写真:ソン・ジンカイ氏撮影

【蛇足的まえがき】

先々週のアメリカ便り2022年、米墨国境の不法越境者」を書くにあたって読んだ、米国、メキシコの資料によって、筆者の知らなかった、不法越境者問題に関する、驚くべき多くの事実を学ぶことができた。そこで今回は、筆者を感動させた、勇気あるな中国人一家のケースをご紹介することにしたい。

結論から書くと、彼らは不法越境ではあるが、無事米国へ入国できた。一家の主人の感想は、南米、中米の恐るべき熱帯雨林の道なき道を這って通った苦難より、母国を出国することの方がはるかに難しかった、という。筆者が驚かされたのは、彼らの採った米国へのルートの意外さと不法越境した国境の数だった。詳しくは本文でご覧いただきたい。(テキサス無宿記)

「泥の上を這ってもアメリカへ行きたい」

 

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  写真:(https://www.bbc.com)

3年間も続いた、中国のゼロ・コロナ政策による、感染者が出た都市の全面的ロックダウンと政府の独断、高圧的対応によって、職を失った多くの中国人たちは、他国に移住して家族のために人間らしい環境と子供たちのためにより良い将来を確保しようと考えるようになった。彼らは見知らぬ他国への渡航による、生活の不安、生命の危険をも覚悟のうえだった。


ソン・ジンカイ(Sun Jincai-35才)もそんな一人だった。彼は決死の覚悟で妻と6,9,11才の3人の子供たちを連れて米国へ渡ることを決意したのだった。中国では海外渡航はもちろん、旅券の交付もきびしく制限され、「急を有し、絶対的に必要な場合」のみ許可がおりる。そのうえ、コロナ対策により、2021年の国際線就航は2019年より97%減便されていた。


昨年4月のコロナ禍による、新たな上海のシャットダウンにより、祖国に見切りをつけた、多くの中国人の海外移住熱は一気に盛り上がった。だが、移住を模索する人々は「渡航、移住」という代わりに、遠回しに「ゾーシアン(Zouxian)英語風発音」という隠語を使って当局の監視を逃れている。そして、多くの中国国民は、コロナ対策に関する、政府の過酷な政策が今後も続くことを見込んで「国外脱出」への踏ん切りをつけたのだった。


「ゾーシアン」即ち移住を目指す人々のSNS上の議論は、学歴、特殊技能と投資によって外国における居住権を獲得することに集中していた。だが、ソン・ジンカイのように特殊技能も資金等の合法的移住に役立つ手段を持たない者たちは、無謀な旅を企てざるを得ないのだった。


ソンはインターネット、TwitterLine等を通じて、すでに米国への移住を完結できた人々による、最小限の「身の回り品」のリストから始まる、各種の旅行に関する指導、援助を受け、「移住(Zouxian)に必要な旅券、出国許可、飛行チケットをGetでき、ドルの換金法、本国、米国の移民法に抵触しない方法等を学んだのである。

だが、WeChat(微信)の検閲を避けるために、彼ら自身のチャット・グループを結成して、SNSを使わずに電報を利用している人々もいる、という。

 

BBC News MundoBBCスペイン語版)の記者はソンに直接会ったことはないが、ソンが発信するSNS上の情報で中国を出発したことを知った。ソンは「我々の幸運を祈って欲しい」と記していた。ソン一家の最初の寄航地はマカオだった。続いて彼らは台北に飛び、更にタイを経てトルコのアンカラに到着した。

コロナ禍に悩む中国人は、ヴィザの交付が受けられずに入国できる国が限られているため、このようなジグザク・ルートになるのだ。

 

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   写真:(https://www.naturalworldsafaris.com)

アンカラから一行は南米エクアドールのキトーに到着した。米国を目指す彼らがエクアドールに飛ぶとは奇異な印象を持ったが、米国、メキシコはもちろん、大部分の中南米諸国は、コロナ禍に見舞われている中国人にはヴィザを発行しないのである。やむなく、孫たちは中南米で唯一中国人を受け入れてくれる、エクアドールをアメリカ大陸への上陸地に選んだのである。

 

マカオを出発して数週間後、ソンは近況をSNSに投稿している。彼の子供たちは、喜々としてマカオ空港の大理石の階段を飛び跳ねるように降りて行った、と記している。マカオからは台北、タイを経て中国人の入国が認められている、トルコに到着した。ソンはトルコの桃色に染まった海辺の夕陽の写真をSNSに投稿している。次の寄航地は南米エクアドールの首府キトーだった。ここで彼らは、「決死的旅路」の最難関地への出発前に束の間の観光を楽しんだのだった。

 

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   写真:(www.gettyimages.com)

数日後、ソン一家は旅路の最難関である、エクアドールの隣国コロンビアと中米パナマ間にまたがる、ダリエン地峡(El Tapon del Darien)へ向かう大型ボートに、世界中からの移民たちとともに乗りこんだ。下船すると、今度はロバがひく馬車に乗って、道なき熱帯雨林への入り口に向け北上した。

 

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  地図:(www.cplumbia.maps.com

ダリエン地峡は、コロンビアに隣接するパナマ国内に広がる熱帯雨林地域である。この地帯は人間の侵入を許さない鬱蒼たる密林のため、カナダとアルゼンチンを結ぶ、パンアメリカン・ハイウエイもこの区間は未建設である。ここは地球上まれに見る、生物多様性が観察できる地域であるとともに、7つもの原住民族が居住する地域でもあることを配慮して、パンアメリカン・ハイウエイは工事を中断し、ハイウエイを通過する車両は、100㌔先の地点までフェリーで運ばれる仕組みになっている。

当然、この密林地帯には一本の道路もないため、難所には違いないが不法越境者及び麻薬運び人たちには好都合な「ルート」になっている。

 

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    写真:(https://www.bbc.com)

SNS上のソンのダリエン地峡に関する書き込みは続く。ソン一家が密林のなかを歩いていたとき、他国の移民仲間が孫の6才の子の手を引いてくれたことが記されていた。

ソン親子の写真もアップされたが、最も危険な瞬間は写真を撮る余裕はなかった。ある日、ソンの妻が腰まである川を横断していたとき、強い濁流に足を取られて溺れそうになった。そのとき、三人の南米人男性が、川に飛び込んで彼女を救出してくれなかったら、彼女の命はなかった。言葉の壁によって、ソンは十分にお礼も言えなかったが、密林を這って通った人々には連帯感が生まれていた。ソンたちがおよそ100㌔のダリエン地峡を通過するには8日かかった。

 

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   写真:(https://www.hellolanding.com)

ソン一家はついにカリフォルニアに無事到着できた。米墨国境のサンディエゴだ。

ソンは妻と子供たちに、「メキシコの国境警備隊に逮捕されなくて良かったね」と幸運を喜びあった。彼らが今回、不法越境した国々は8ヵ国にもなる。即ち、

南から順番に列記すると、コロンビア、パナマ、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス、グアテマラ、メキシコそしてアメリカである。

 

彼らはグアテマラ国境から最も遠い、カリフォルニアを目的地にしたのは、カリフォルニア州の米墨国境地帯に19世紀中旬以来、住み着いている強力な中国人社会を頼って行ったものと、思われる。彼らの手引きで「不法入国者」のソンが就職もできたのは幸運だった。母国を出てから早くも3か月が経っていた。その間の全費用は8,000ドルだった、というから「ミッション・インポッシブル」の長旅は案外安くついたといえる。
そして家族そろってアメリカに無事安着出来ことは、ソン一家に対する何よりのご褒美だった。  (終わり)

参考資料el creciente numero de mograntes chinos que atraviesan la selva del Darien para llegar a EE.UU. (BBC Mundo)

     Chinese immigrants in the USA (MPI)


メキシコ小話OK

  「さあ、行きましょう、あなた!」

 

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     写真:(https://www.freepik.es/)

蛇足的まえがき】

メキシコの刑務所もヒイリピンの入管施設で特別待遇を受けていた、日本人広域強盗団の首魁たちと同様に金さえ払えば、なんでも出来る。数年前、メキシコ・シティー近郊の刑務所から1.5㌔のトンネルを掘って、脱獄した麻薬シンジケートのボスがいたことは世界的ニュースになった。

メキシコの麻薬ギャングは米国との国境線の地下に百余のトンネルを掘って、コカインを密輸出していることは、周知の事実である。

 

ところで、メキシコの刑務所には、ヒイリピンにもない、「夫婦訪問」という制度がある。これは、模範囚は朝10時から17時の間、細君または愛人と刑務所内の「ラブホテル」並みの部屋で二人きりで過ごせるのだ。こうすると、受刑者のストレスが解消されて、凶悪犯も大人しくなるという、メキシコ独特のシステムなのだ。

さて、小話の主人公もその恩恵にあずかっただろうが、小話の刑務所長は「長期刑受刑者」の家族の弱みに付け込んで、飛んでもない悪さをするのである。

メキシコをはじめとする、ラテンアメリカ諸国では、高級官僚になると、職権を利用して、汚職、セクハラなどは、今でもやりたい放題なのだ。従って、こういうエピソードはあり得るのである。小話としては荒唐無稽で面白いですが…。

(テキサス無宿記)

 

一笑一若・メキシコ小話「さぁ、行きましょう、あなた!」

これはむかしむかしのメキシコの刑務所のことである。独房にいる亭主に彼の若い女房が面会にやってきた。


「久しぶりね。元気?」と女房。


「まぁ、元気に刑期を消化しているさ。子供たちは元気かい?」


「みんな元気よ」と女房。


「猫のチャチャも元気か?」


「元気よ」と女房。


「だが、お前は元気がなさそうにみえるな。どうしたんだい?」と亭主。


「そんなことないわ。だけど40年はいかにも長すぎるわ。そこで、あたし刑務所長に40年の刑期を少しだけでも短くできないか、と相談に行ったのよ」。


「なんて言った、あの糞野郎は?」と亭主。


「彼は出来る、と言ったわ。彼と一回メイクラブするたびに、あなたの刑期を1日短縮してやると言ったのよ」と女房。


「それで、お前は承知したのか?」と亭主。


「もちよ。さぁ、行きましょう、あなた!刑期満了おめでとう!」と女房は言った。


お後がよろしいようで…。


アメリカ便り青グラデーション

   2022年、米墨国境の不法越境者動向が激変

 

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写真:(https://www.dallasmorningnews.vom)

【蛇足的まえがき】

「海外移住はしない方が良い。人間は生まれた土地で育ち、暮らし、死んでいくのが真っ当な生き方である」という趣旨が、米国の移住学会の主張として掲げられていたのを読んで、驚くとともに「なるほど」と納得したものだった。

しかし、167世紀以降、人間は旧世界から新世界に向けて怒涛のごとく移住して行った。合衆国の移住地は、多くの場合、ヨーロッパ諸国、同地方政府等の政策として開発され、安全や生活の面で移住者は新天地で暮らせたので、先住民との軋轢はあったものの、移民は自らの意思と希望で移住するものだった。

ところが、最近はラテンアメリカ、アジア諸国からアメリカ合衆国へ押しかける移住者は、政治的、社会的、経済的理由から母国では「食っていけない、生命の危険を感じる」といった理由で、ビザ無しで米墨国境から不法越境してまでも米国へ行きたがるのである。これはもう移住ではなく、難民、亡命と呼ぶのがふさわしい。

2022年、米墨国境に押し寄せた不法越境者は、新記録を樹立するほど増加するとともに、これまでは不法越境者と言えば、メキシコ人と中米人が95%を占めていたものが、同地域以外の出身者が43%にも増加したのである。以下、米墨国境問題の最新情報をご覧いただければ幸いです。

(テキサス無宿記)

 

2022年、米墨国境の不法越境者動向が激変

 

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      図表:(www.wola.org)

202210月に発表された、合衆国税関・国境警備局(CBP)のリポートによると、昨年の米墨国境における不法越境による拘束者は238万人を超える新記録になり、バイデン政権の懸念材料になっている。

 

なお、税関・国境警備局は不法越境による拘束者を第8号法(Title8)の定めによって「拘束者(encounter)」として逮捕する決まりになっている。また、公衆衛生法の規定する、不法越境者中の新型コロナ感染者は、20203月以降、第42号法(Title42)に基づいて国外退去を命じられる。

 

さて、これまで不法越境者といえば、メキシコと同国に近い、いわゆる中米北部三角地帯と呼ばれる、グアテマラ、ホンジュラスとエル・サルバドール3の出身者が大部分を占めていた。

ところが、昨年は不法越境者の出身国に変化が起こり、メキシコと中米諸国以外の西半球諸国、例えば、ヴェネズエラ、ニカラグア、キューバ出身者が劇的に増加した事実が明らかになった。

とともに、この三国がいずれも極左政権であることも、偶然ではない。上記CBPのコミッショナー・マグナスは、破綻寸前の極左政権下にある三国の経済的不安定及び政治的抑圧が移民流出のPUSH要因となっている、コメントしている。これは、移民送出国のすべてにあてはまる、といえる。そして、移民を引き付ける(PULL)魅力的な国が米国なのである。

 

米墨国境に押し寄せる、不法越境者及び難民申請者は、ブラジル、エクアドール、ハイチからも増加が著しい。そしてさらに遠方のウクライナ、インド、トルコ,中国からも米墨国境を目指してくる、というから驚きを禁じ得ない。

2008年以降、2018年までは、メキシコと中米諸国以外からの不法越境者の割合は4%だけだったが、2022年は何と43%を占めるに至った。

 

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    写真:(https;//talcualdigital.com)

具体的な数字を見ていただきたい。CBP(合衆国税関・国境警備局)によると、2022年の米墨国境地帯における、不法越境による拘束者は、かつての常連だった、グアテマラ、ホンジュラス、エル・サルバドールからは520,602名だったのに対し、新顔のヴェネズエラ、キューバ、ニカラグアからの拘束者は571,159名にも達した。これら三国は、米国との外交関係が無きに等しいため、常連国とは比較的順調に行える、不法越境者の送還等は話し合いすら出来ない状態になっている。

 

一方、メキシコは南米、中米諸国民のメキシコ・ヴィザの申請は受け付けているが、ヴェネズエラの米国外交機関は20193月以降閉鎖されているため、ヴィザの申請は出来ない。

 

2022年の不法越境による拘束者数を国別で見ると、主要五か国は、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスと新顔のキューバ、ヴェネズエラとなっている。

なお、20231月から、キューバ人は米国ヴィザの申請が可能になり、ヴェネズエラ人も米国に保証人がいれば、ヴィザ申請が可能ではある。

もちろんメキシコ人、中米人の米国ヴィザ申請は可能だが、多くが繰り返し繰り返し越境を企てるのは、「拘束、または追放処分」を受けた人々は、正式のルートでは米国に入国できないからである。

 

命がけで海外に移住するとは、ただ事ではないが、別に珍しいことではない。今の世界は自国民を「押し出す国」と他国民を「引き付ける国」の2種類があることをリポートした。

この稿を書くにあたって、多くの資料を読んで驚いたことがある。徒歩でメキシコの砂漠地帯を歩いて米国を目指すのは、メキシコや中米人のみならず、南米、アジア、アフリカ諸国の人々もいることだった。

 

彼らは、米国の隣国メキシコがスタート地点ではなく、遥か遠くのコロンビアとパナマ間にまたがる、ダリエン地峡の難所(El Tapon del Darien)と恐れられている、100㌔の熱帯雨林の道なきジャングルを徒歩で縦断して、コロンビアからパナマに入る、命がけの旅をしていることだった。

 

米墨国境地帯の越境成功率は?

 

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    写真:(www.tomfernandez28`sblog.com)

さて、2022年の米墨国境の不法越境による拘束者は238万だったが、無事(?)というか見事に越境した者は何人いるのだろうか?正確な数字は不明だが、大体300万人と言われている。成功率50%と言うわけだ。

米墨国境地帯はメキシコ麻薬ギャングの麻薬交易のルートであり、彼らは副業として、麻薬の他に「移民」も米国に密輸出しているのは、周知の事実だ。

この手の案内人をCoyoteと言うが、スペイン語でブローカーの意である。本来の意味は「オオカミ」なので、いつ牙をむくか知れたものではない。

 

ギャングはグアテマラ国境からメキシコ国内の案内料は2,000ドル、国境通過案内料は平均9,600ドルも要求するのだ。国境地帯に多数存在する、ギャングが掘削した、麻薬密輸用トンネルも大金を積めば通行させてくれる。

彼らの案内料は、トランプ政権時代、国境の警備がきびしくなったときから、倍増した、と言われている。

国境で拘束される人々は、そんな金を持たない、母国では食っていけない低所得者層ばかりなのが、悲しい現実なのである。

(終わり)

参考資料:El numero record de encuentros con migrantes en la frontera Mexico-Estados unidos encubre la historia mas importante(Ariel Ruiz Soto)

          El creciente numero de migrantes chinos que atraviesan la selva del

          Darien para llegar a EE.UU.(BBC Mundo)

 


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