アメリカ便り

アメリカ便り Letters from the Americas 様々なアメリカ&メキシコ事情と両国の小話

2012年12月

イメージ 1
                     年忘れ小話大会第4弾            
                   
                                    メキシコ小話「ピルリーナ」
 
ピルリーナ(Pirulina)と言う名前は無く、これは小話の作者・Caton氏一流の造語ですが、メキシコの俗語で「尻軽女」の意もあります。
 年忘れ小話ですから、サービスでこれが落ちのヒントだと暗示しておきます。
さて、お分かりになるかな? この小話が理解出来れば、「黒帯級」ですな。
 
 では、年忘れ小話大会の掉尾を飾る、一笑一若・メキシコ小話をお届けします。
大いに笑って、2013年を迎えましょう!!!
来年もよろしくお願いいたします。 
            
イメージ 2

                      
                                                (Google imagines)  
        
                   メキシコ小話 「ピルリーナ」
 
ピルリーナが実家に帰ってきた。彼女は顔を殴られ、鼻血を出して、目と口の周りは、紫色に腫れ上がっていた。
 
愕然とした母親は娘に質問した。 「一体全体、どうしたの?」
 
 ピルリーナは泣きじゃくりながら、返答した。
「夫にぶたれたのよ」
 
 母親は、「あんたの夫? 海外出張じゃなかったの?」とびっくりする。
 
 また泣きべそをかいて、ピルリーナ、
「私もそう思ってたのよ… 」
 
 お後がよろしいようで。

イメージ 1
                                      年忘れ小話大会第三弾      
               
                  アメリカ小話「大統領より偉い人」
 
一笑一若小話に教皇が初登場される。日本の新聞などはローマ法王と書くが、これは間違いでローマ教皇が正しい。法王は仏語で「仏法の王」を意味する(広辞苑)。
私の第二の母国・メキシコは教皇をPapaとお呼びするが、これはラテン語のPapaからきている。英語はPope, フランス語は Pape,ドイツ語は Papst である。
 
 さて、これは国際的に有名な小話で色々のバリエーションがあるが、このアメリカ版はナパ・バレーを教皇に走らせたりして、中々面白い。今の教皇の前任者のジャンポール二世は、27年間の在任中に102回の海外宣教の旅をされたほど活動的な方だったので、この小話のようなエピソードは起こり得たかも知れない。
 
 では、教皇さまの「一笑一若小話」をE N J O Y !!!
 
イメージ 2
 
 ローマ教皇・ジャン・ポール二世(在任:1978~2005)20世紀で最も影響力のあった指導者の一人、ポーランド生まれ、(images.ask.com)
       
     
    アメリカ小話「大統領より偉い人」
 
ローマ教皇さまはナパ・バレーの訪問を終えて、サン・フランシスコへお戻りになるところだった。教皇さまはリムジンを運転したことは一度もなかったので、運転手に少しの間、運転させてもらえないか、と頼んでみた。
 
 さて運転手には教皇さまの「ご要望」を断る選択肢はなく、すぐさま後部座席に移った。
そして教皇ご自身がハンドルを握ったのだった。
 
 ブドウ園が広がる、シルバラード・リゾートを快適にドライブする教皇さまは、リムジンの性能を試そうと、アクセルを強く踏み込んで行った。
 
 時速140㌔を超えたころ、後方に赤と青のライトを点滅させて疾走してくる、ハイウエイ・パトロールのパトカーが、教皇さまの目に入った。警官は教皇さまに道路の片側に寄るよう指示した。
                                       
                                     
イメージ 3
                                        
                                         教皇さまが乗車されたリムジン(mbfag.com) 
 教皇さまがリムジンを止めると、警官がウインドウに近寄ってきた。
警官は、運転しているのが教皇さまと知ると、「少々お待ちください、今上官に指示を仰ぎます」とどぎまぎしながら言った。
 
  直ちに警官はハイウエイ・パトロール隊長に電話した。
「隊長!ただ今、非常に偉いお方に停車を命じました。どう処理したら良いか、ご指示いただきたい」
 
 すると、隊長は「またテッド・ケネディーじゃないのか?」とうんざりした調子で言った。
警官は、「No, Sir! もっと偉いお方です」
隊長は、「大統領か?」と訊く。
 
警官は「もっと偉いお方です」と返答した。
 
じらされた隊長はいらいらして、「くそ―!一体全体誰なんだ」と怒鳴った。
 
「分かりません、隊長!」と警官は答えて、後を続けた。
「しかし、この方は教皇さまを運転手にしているのでおそらく…」 
 
 お後がよろしいようで。

    
イメージ 2
 
                 メキシコ小話「CASIO G-SHOCK」
 
さて、今回は子供にも語れる、メキシコ小話「CASIO G-SHOCK」をお送りします。
少々おつむの弱い「ババルカス」はCASIO時計の新しい利用法を思いつきました。
 どうぞ、小さなお子さんたちに語ってやってください。喜びますよ。
  なお、CASIO G-SHOCKは2012年にお届けした37編の小話のなかで、最も人気が高かった小話の再録です。では、この年の瀬にご家族そろって、小話を E N  J O Y !!!
 
     
イメージ 1
       写真)腕時計 CASIO G-SHOCK(Casio ホームページ)
    

 
メキシコ小話「CASIO G-SHOCK」
 
店員がババルカスにCASIO G-SHOCKの説明をしている。
「このデジタル腕時計はストップ・ウオッチと計算機と高度計がついています。
 
 おまけに世界中の都市の時間も知ることが出来ます。
そうそう、これをつけてシャワーを浴びることも出来ますよ」
 
 すると、ババルカスは大そう興味を示して、質問した。
「どのボタンがお湯でどのボタンが水なの?」
 
 お後がよろしいようで。

イメージ 1
 
                                        
 リーダーズ・ダイジェスト誌に掲載された「家庭向け小話」の傑作シリーズを10月からお届けしているが、今回はその第四編である。今年も「年忘れ小話大会」を行いますが、これはその第一弾でもあります。では、E N J O Y !!!     

                         アメリカ小話「整形手術」
 
イメージ 2

                       整形手術のBefore(左) と After(右)   (www.taringa.net)
 
心臓手術を受けた中年女性が病室の枕元で神様の幻を見た。
「私は死ぬでしょうか?」と彼女は神様に訊いた。
 
 神様は「大丈夫、お前はあと30年生きるよ」と保証した。
 
 あと30年生きると聞いた女性は、30年の人生を思いっきり楽しもうと決心した。
入院中に彼女は鼻の整形、眉毛の植毛、豊胸手術、脂肪吸出し手術、しわ取り手術を行った上、唇にコラーゲンを注入してもらった。
 
 お蔭で、彼女は見違えるほど若返り、きれいになった!
 
 退院の日、彼女は若やいだ美貌を見せびらかせるように、優雅に道路を横断した。
 
 すると、疾走してきた救急車にはねられて、即死してしまった。
 
 天国に着いた彼女は、神様の御前に出た。
「神様は30年生きると保障してくださったのに」とぐちを言った。
 
神様は、「確かにそう言ったよ」
 
「では、なぜ私は死んだのですか?」と彼女は抗議した。
 
 神様は肩をすくめて言った。「お前だと気がつかなかったんだよ」
 
お後がよろしいようで。

イメージ 1
 
 コネティカット銃撃事件は銃器規制のきっかけ
 
イメージ 2

             犠牲者の名前が貼られた星条旗、サンディ・フィック小学校(Reuters.com)
 
 今月14日、米国東部のコネティカット州ニュータウン市のサンディ・フィック小学校で朝礼が行われていたとき、突如20才の青年が学校に乱入、半自動ライフルを連射して、教室にいた6~7才の少女12名と男児8名にそれぞれ数発づつの弾丸を命中させて射殺した。続いて犯人は、銃声を聞いて駆け付けた校長先生を含む6人の女性教職員を同じ様に射殺した。子供たちは全員一年生だった。攻撃し終わった犯人は、その場で自殺した。 
 
イメージ 3
イメージ 4
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
左)アダム・ランザ (news.mynavi.jp)    右)ナンシー・ランザ、撮影時期不明 (mexico.cnn.com)
 その後の警察の調査によって、犯人はアダム・ランザ(20才)と判明した。ガンマン(殺し屋)はこの朝学校に乱入する前に、自宅で彼の母親ナンシーさん(52才)の顔面を銃撃して殺害していた。警察によると、彼は狙った相手は全て射殺しており、けがを負ったものはいなかった、と言う異常なまでの残忍さだった。犯人を知る人たちの証言によると、アダムは頭は良いが神経質で内気かつ非社交的な性格の反面、乱暴な一面もあった。そして学校は中退していたが、これはアダムのせいではなく、母親が学校教育に満足していなかったため、彼女が息子に在宅教育を行っていた。これはアダムには社会的興味、コミュニケーションに特異性が認められる、広汎性発達障害(アスベルガー障害)があった関係で、家に引きこもり状態だったらしい。
 
           犯人は広汎性発達障害の青年
  
イメージ 5
     犯行に使われた銃と同型の銃 .223mm Bushmaster半自動小銃  (bushmaster.com)
 
 ガンマンの犯行動機は遺書も日記もなく、PCのハードディスクも破壊されていたため、未だ解明されていないが、彼の両親は4年前に離婚し、犯人は母親と大きな家に二人で住んでいた。警察によると、アダムは二丁の拳銃と一丁の半自動小銃(Semi-automatic Rifle)と大量の弾倉を所持していたので、犯行には主に小銃を使用した、と見られる。この三丁はみな幼稚園の元教諭だった母親のナンシーさんの所有物で、正規の手続きを踏んで購入されたものだった。彼女はこの他に、二丁の猟銃も持っていた。
ナンシーさんは銃器愛好者で、たびたび息子のアダムを連れて射撃場で練習していた。また、町のイタリー・レストランで銃器愛好家たちと銃の話をするのが楽しみだった、と言う。なお、別れた父親は、GEエナジー・ファイナンシャル社の幹部で、別な女性と再婚しており、前妻のナンシーさんには年額24万ドルの離婚扶養料を払っていた。また24才の長男はニュージャージーに住んでいるが、当初彼が犯人と誤認され、大迷惑をこうむっている。
 
  コネティカットの銃撃事件は全米を震撼させ、米TV局はそろってメーンキャスター現場に投入して生中継を行い、新聞は全紙トップでこの悲劇を伝え続け、銃器規制に関する、苦痛に満ちた国民的論争を巻き起こしている。
この事件で、私の最も関心を呼んだことは14日以降の新聞の多くは、銃器規制の強化を訴える記事を掲載しているのは勿論だが、銃器規制反対の声も意外に多いことである。
 
                  銃器規制反対の声も
 
例えば、選挙で選ばれた、テキサス州の土地委員会委員長である、ジェリー・パターソンは銃の規制どころか、もっと所持させろ、と呼びかけている。パターソンは校内でもっと多くの人たちが銃を携行すれば学童たちはより安全になると言う。1995年に施行された「州銃器法」の制定に尽力したことと、22口径のマグナム拳銃を装着したブーツを履くことで有名なパターソンは、学校内の警官、警備員や責任感も持つ父兄に拳銃で武装することを提案している。
 また、米国憲法が銃器の所持を国民の権利として認めている以上、銃器保持を禁じるのではなく、銃が精神疾患者や犯罪組織に渡らないような方策を講じるべき、と言った議論もある。
 
 実際2008年テキサス州のオクラホマ州境にある、ハロルドと言う小さな市が小学校教師に
教室での拳銃の携行を認めたことがあった。この事件は全米の関心を呼んだが、教師の拳銃携行は長く続かなかった。この件に関して、テキサス・ヒューストンの教員組合委員長のガイル・ファロンさんはこうコメントした。「私は教師が武装することには絶対反対です。二度とコネティカットのような蛮行が起こらないことを切に望みますが、今はなぜ教師を武装させないのか、とも思います。しかし、この件は議会が検討すべきことでしょう。とにかく、何らかの方法で国が銃器を規制すべきでしょう。私は個人的には銃器規制派ではなく、複数の銃を持っていますが、『誰が銃器を所有出来るのか』を規制すべきでしょう」
 ガイル先生が言う、「何故教師を武装させないのか」と言う思いは、サンディ。フィックの校長先生が武器を持っていたら、多くの命を助けられたかも…の意味だろうが、そんなことが可能だっただろうか?
 
 ガイル先生やアダムの母親のナンシーさんたち女性が銃を複数持っていることに、私は驚いている。米国の多くの女性は、銃器愛好家の亭主が亡くなるや否や、亭主が大事にしていたコレクションを叩き売るほど「銃がきらい」と思っていたが、そうでもないらしい。しかも二人とも学校教師というインテリなのである。それほど銃文化が米国に深く浸透しているのだろう。
           
            オバマ大統領、遺族を弔問
 イメージ 6

イメージ 7
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
左)追悼集会で演説する大統領 (Reuters) 右)全米で半旗が掲げられた(imgace.com)
 
しかし、コネティカット銃撃事件はこの国の銃文化を大きく変えるきっかけになりそうである。日曜(16日)の午後、オバマ大統領は、子供たち、家族を失って悲嘆のどん底にある、ニュータウンの遺族の弔問に訪れた。
 犠牲者を追悼する集会に参加した大統領の演説の概要は次の通りである。
先ずオバマ大統領は、子供たちを守るために十分なことをしなかったと国民に苦言を呈し、今後このようなことが起こらないように、行動を起こさなければならない、と語った。
このようなことを許容することは出来ない。このような悲劇を二度と起こしてはならない。そして悲劇を終わらせるには、我々が変わらなければならない。多くの命、特に「子供たちの命を奪う銃撃事件の多発に立ちはだかるために、私は大統領の全権限を使う。」と強調した。
 事実、大統領は議会に諮る必要のない大統領令で「殺傷力の高い銃器」の売買、所持などを制限することも可能なのである。
 オバマ大統領は具体的な言及は避けたが、永年に亘って新しい銃器規制法成立に反対する勢力に直面して、変革を追及するとも言明した。
 オバマ氏は「我が国は我々の最も重要な任務である、我が国の子供たちを守ることを怠っている。これは我々の最も重要な任務である。」と18分のスピーチを締めくくった。
 
 米国ではこの20年間に23件の集団殺略事件が起きた。今回の事件は2007年に起きた、32名の犠牲者を出した、バージニア工科大学事件に次ぐ二番目の大事件である。繰り返される悲劇に銃器規制の在り方が、かってないほどの注目を集めている。
 米国は2004年のブッシュ政権下で、1994年クリントン民主政権で時限立法として成立した殺傷力が強大な「攻撃用銃器」の販売、所持、譲渡を制限する法案が失効、廃案となっている。27名の犠牲者を出した、今回の事件を踏まえ、少なくとも同程度の法案の成立を望む声が高まっている。
 
  アメリカ人は自衛のために銃器が必要と主張する。テキサスのハイウエイを車で移動すると、人跡まれな原野に時々牧場の門が立っている。こういう場所では自衛のために銃器が必要だと、私も理解できる。また銃器を狩猟や競技に使うスポーツ愛好家も多い。
しかしアフガニスタン等で軍隊が使用する、殺傷力の高い自動小銃や機関銃が果たして自衛、狩猟、スポーツのために必要だろうか? 
 
 さて、16日のオバマ大統領の「銃器規制」にかける強い決意の後押しを受けて、民主党は年明け早々に、何らかの銃器規制法案を提出するものと思われる。これまでの米国の世論調査では、銃器規制賛成派と反対派が半々と言われてきた。しかし、今回の20名もの罪のない一年生の殺略で世論も大分変ってきたようである。コネティカット銃撃事件は銃器規制のきっかけになるのか、アメリカ人の銃器規制ディベートを見守っていきたい。

↑このページのトップヘ