アメリカ便り

アメリカ便り Letters from the Americas 様々なアメリカ&メキシコ事情と両国の小話

2022年07月

メキシコ小話OK

              2022年・暑気払い小話大会第2

「もう寝ちゃったの?」

 

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写真:(www.aliexpress.com)

【蛇足的まえがき】

 今週のメキシコ小話の主人公のババルカスはCaton作小話のボケ役を務める、お人好しの青年である。メキシコではお人好しはバカの代名詞でもある。ババルカスのババ(baba)はよだれの意であり、よだれを垂らしながら歩く牛から連想して脳足りん人物を指すのである。ババルカスでは長いので、今後は親しみを込めてババと呼びたい。

 さて、メキシコ小話の数ある定番中、「テキサス無宿」のお気に入りは、「一夜の宿」シリーズである。車が故障した地方回りのセールスマンが、道路わきの農家に「一夜の宿」を求める話である。農家の住人は老人と年頃の美女と決まっている。「娘にちょっかいをだすな」という条件でセールスマンはその農家に泊まることになる。そして、起こるべきことが起こるのだが、メキシコにも寅さんのようなドジなのもいるので想定外なことが起きる。娘さんがネグリジェ姿で「もう寝ちゃったの?」とババに迫ってくると…。続きは後段の一笑一若・メキシコ小話「もう寝ちゃったの?」でE N J O Y !!!  (テキサス無宿記)

一笑一若メキシコ小話「もう寝ちゃったの?」

 ドジ男のババが救急車で救急センターに搬送されてきた。額と頭部に切り傷、青あざがあり、顔は打撲傷で巨大に腫れ上がっているうえ、額に血がこびり付き、髪の毛もザンバラになって、見るからに凄まじい恰好になっていた。

 当番のドクターは驚いて、「どうしました? 強盗にでも遭ったのですか?」と訊いた。

ババ:「いいえ先生、自分で壁に頭をぶつけて、傷とこぶをつくったのです」と言った。

ドクター:「それは又どうして?」と驚いて訊いた。

ババ:「一部始終を話します、先生」と言って、ババは話はじめた。

 以下はババの聞くも涙のストーリーである。

5年前、運転している車が故障してしまったのです。夜遅くて雨がふっていました。幸いにも灯りのついた一軒の農家が目に入ったので、一夜の宿を求めたのです。話を聞いてくれた農家の主人は良い人で、「家に泊まっていきな」と言ってくれました。

 遠慮なく、泊めてもらうことにしました。娘さんの部屋を空けてくれて、彼女は居間に寝ることになりました。そうそう彼女はすごい別嬪でした。

夕食を食べ終わったご主人は二階に上がって行き、私は娘さんの部屋のベッドに入りました。

  しばらくして、音もなくドアが開くと娘さんが部屋に入ってきました。彼女は透け透けの黒いネグリジェを着ていました。何の用かな?」と自問しましたが、何か忘れ物をしたのだろうと思い、寝たふりをしました。

彼女は数分間、何かを待っていたようでしたが、やがて出て行きました。

 少し経つと、彼女は再び戻って来ましたが、私はまた寝たふりをしました。彼女は何しに来たのだろうか、と私は不審に思いました。

すると、彼女は私を揺り動かして、目を覚まさせようとしました。しかし、私は彼女が何を欲しているのか分からなかったので、また寝たふりをしました。彼女は再び部屋から出て行きました。

 ところが、驚いたことに少し経つと、また彼女は部屋に入って来ました。何しに来たのだろう、と私は不安になって来ました。今度は私の耳に口を近づけた彼女が「もう寝ちゃったの?」と訊きました。良い匂いがしました。

 それでも、私は寝たふりを続けました。何故なら、娘さんが何を欲していたか想像も出来なかったからです。

私が目を覚まさなかったので、諦めた彼女は部屋を出て行き二度と戻って来ませんでした。

 先生、あれから五年経ちました。その後ずうっと、私はこの件について自問自答してきました。あの夜、彼女は何を求めていたのだろうかと……。 

  ついさっき「あっ、そうか!」と、やっと彼女が何を求めていたのかに気が付いたのです。そして私は壁に頭をぶつけ続けたのです、何度も何度も。

どアホな自分が情けなくて、愛想が尽きて、腹が立って………

 お後がよろしいようで……


アメリカ小話

                2022年・暑気払い小話大会


「年の差72才夫婦の…」

 

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                  写真:(www.drewandboyd.wordpress.com)  

蛇足的まえがき】

 欧米人にはセックス面で老いてなお盛ん、というツワモノが多い。当然若いものはもっともっと盛んである。最近読んだ、動物行動学研究家の竹内久美子氏が書いた、「ウエストがくびれた女は、男心をお見通し」に恐ろしいことが書かれている。「女はペニスの大きい男に魅力を感じる」のだそうだ。そして、ペニスの大きさ、男らしい体型、身長という三つの要素は連動している、という。

 ペニスサイズの大きさは人種によって大きさが異なり、ニグロイド、コーカソイド、モンゴロイドの順になっている。この順位は睾丸の大きさでも同じである。

 因みにその重さはそれぞれ50g,40g,20gとなっている。数字は平均値だから、日本人でも、あなたのように黒人なみの男もいるに違いない。

 要するに、私が言わんとするところは、欧米人即ちコーカソイドには精力旺盛な男が多い、ということである。

さて、今週のアメリカ小話の主人公は、そういうご老人が登場する。そんな彼が72才も若い妻をもらったのである。初夜の結果は下記の一笑一若・アメリカ小話でどうぞ!(テキサス無宿記)

 


一笑一若・
アメリカ小話「年の差72才夫婦の…」


 
観光地の小さなホテルは午後に予定されている、新郎95歳と新婦23歳の結婚式の準備に大わらわだった。よぼよぼの新郎を見ると、誰もが結婚初夜が無事に終わるだろうか、と余計なおせっかいをするのも無理はなかった。何しろ新婦は健康そうで、元気はつらつたるグラマーなのだ。

 

驚いたことに翌朝、ロビーに通じる、階段の手すりをつたわりながら、一歩一歩、ゆっくりゆっくり体を労わるように降りてきたのは、新婦だった。

そして、彼女はやっとのことで、ホテルの売店にたどり着いた。

店員は心配そうに新婦を見ると、「どうしました、奥様? まるで貴女はワニとレスリングを一戦交えたような様子ですが…」と訊いた。

 新婦は疲労のためにうめき声をあげながら、カウンターにもたれかかると、やっと声を絞り出した。

Ohmy God! 彼は75年間節約して溜めてきたと言ったので、あたしはてっきりお金のことだと、思ったのに…。」とうれしい悲鳴を上げた。

お後がよろしいようで…。


東京発(Tokyo)

「天職」を持った稀有な政治家

産経新聞論説委員 阿比留瑠比

 

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        写真:(https://www.japan-forward.com/japanese

【蛇足的まえがき】

欧米では政治家には二通りある、と言われる。statesman politicianである。残念ながら日本語にはない言葉だが、意訳すれば、「公正な政治家」と「政治屋」となる。即ちステーツマンとポリティシャンは対極をなす言葉である。

 「公正で『立派な』政治家」とは、彼または彼女を選出した国民の公益のために全力を尽くす人物を指す。

 一方、我が国にも多い「政治屋」とは、選挙で勝つことのみを目指し、権力を握るためには、偽りもいとわない人物だとされる。

ステーツマン安倍氏は日本のみならず、地球規模で最も尊敬、信頼されたリーダーだった。バイデン大統領は安倍氏の死を悼んで、米国の政府関係施設に星条旗の半旗を掲げるよう大統領令を出した。異例なことである。

 

さて、「天職を持った稀有な政治家」は安倍元総理をよく知った、産経新聞論説委員・阿比留瑠比氏が産経紙上に書いた、安倍氏へのオマージュである。

安倍氏の3188日間にわたる、政権でなしと遂げた業績が簡潔にまとめられ、総理の功績が見事に描写されている。このエッセイはJapan Forwardに英文で掲載されて、広く世界に発信されたことも追記しておきたい。

(テキサス無宿記)

 

「天職を持った稀有な政治家」 阿比留瑠比

日本の将来に、二重に暗雲が垂れ込めた。安倍晋三元首相が8日、銃撃され亡くなった事件は、経済政策でも安全保障面でも歴史認識問題でも日本を引っ張ってきたリーダーを、一時的にしろ失うことを意味する。同時に、日本社会にとりテロが身近かな存在になったという暗い予感すら覚える。

「すごく盛り上がっていた。あの候補は午後8時の時点で当確が出るだろう。自民党は、かなりの確率で60議席いくんじゃないか」。

前日の7日夜には、参院選について安倍氏に電話で取材し、応援に入った候補の情勢を聞いたばかりだった。連日の全国行脚の疲れもみせず、すこぶる元気な様子だったが、選挙区によっては対立候補の支援者らが「暴れることがある」とも話していた。

 

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     写真:(https://www.mbs.jp/news/)

  左派文化人や一部マスコミは、安倍氏に対しては何を書いても言ってもいいとばかりに、罵詈雑言を浴びせてきた。憎悪をあおる彼らの姿勢も、今回の凶行を招いた一因かもしれない。

 犯人は、安倍氏という日本の針路を指し示す羅針盤であり、エンジンでもあった人物を退場させることで、日本をどこに向かわせたかったのだろうか。選挙応援中の元首相を銃撃するという行為は、民主主義の否定そのものである。


 安倍氏は第1次政権時には、占領下に作られた教育基本法を初めて改正し、防衛庁を省に昇格させ、憲法改正に必要だが未整備だった国民投票法を制定した。

 第2次政権以降は経済政策「アベノミクス」で株価を上げるとともに雇用を創出し、国家安全保障会議(NSC)を設置し、政府の戦略的意思決定を迅速化した。

 

集団的自衛権の限定的行使を容認する安全保障関連法を成立させ、緊張が高まる東アジア情勢に対応し、機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法をつくった。

  慰安婦募集の強制性を根拠なく認めた河野洋平官房長官談話の作成過程を検証し、米国のトランプ前大統領に北朝鮮による拉致問題の重要性を説き、米国のこれまでにない関与を引き出した。自民党が憲法改正案に「9条への自衛隊明記」を打ち出したのも安倍氏の意向である。


 憲政史上最長の通算3188日の在日期間を終えた後も、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保持や、防衛力の抜本的強化・防衛予算の増額などで自民党内の議論をリードしてきた。積極財政派を率いて、財政規律に傾きがちな岸田文雄政権を牽制する役割も果たした。


  
日本の政治と現在は、安倍氏を抜きには語れない。ともすれば軸がぶれがちな自民党が保守政党を名乗っていられるのも、安倍氏とその同志らの存在があるからにほかならない。

若い頃から難病指定の潰瘍性大腸炎に悩まされながら、2度も首相に上り詰めた安倍氏は時折、次のマックス・ウェーバーの言葉を引用してきた。「断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても『それにもかかわらず!』と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への『天職』を持つ」

 まさに安倍氏自身のことだろう。24年前に初めて取材したときから、安倍氏の政治信条は全く変わらず、人柄は優しく誠実なままだった。「天職」を持つ稀有な政治家の突然の死去が、残念でならない。(終わり)


アメリカ小話

「赤ちゃんは母乳ですか?」

 

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                              写真:(https://www.webconsultas.mx.com)

【蛇足的まえがき】

 私の小話の師匠はカトリック高位のスペイン人神父様だった。

師匠は「カトリック教を冒涜する小話は許さん」と常日頃言っていた。と言うことは、そんな小話も結構あるのだ。いわんや、政治家、弁護士、学校の先生、社長と言った「人の上に立つ」職業の人たちを侮辱し、罵倒する小話はいくらでもある。その点、医師に関するその種の小話は私の知る限り、ほとんどない。それほど、お医者さんは尊敬される存在なのだ。

 お医者さんも小話に登場することはある。だが、常に「良い人」として登場する。では、そんな小話をお楽しみください。

テキサス無宿記)

 

一笑一若・メキシコ小話「赤ちゃんは母乳ですか?」

 生後2か月の赤ちゃんを抱いて、グラマーな女性が若くてハンサムな産婦人科医の診察室にやって来た。

 

 女性:「この子の体重が増えないのです、ドクター」

 

ドクター:「赤ちゃんは母乳ですか、粉ミルクですか?」

 

女性:「母乳とミルク半々です。ドクター」

 

ドクター:「では、上半身、脱いでください」

 

 女性:「でも、ドクター、私は…」

 

ドクター:「診察ですから、脱いでくださいね」

 

 仕方なく女性は衣服を脱ぎ、豊かな胸をドクターに見せる。ドクターは丁寧に彼女の胸を触診する。

 

ドクター:「この子の体重が増えない原因が分かりました。あなたの母乳が出ないので栄養分が不足しているのです」。

 

 女性:「出る訳ないのです。実は私は母親ではなく、この子の独身の叔母ですから。姉に代わって甥っ子を連れてきたのです。でも、ドクターに診察していただいてうれしかったわ…」。

 

 お後がよろしいようで……。


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