メキシコ小話OK

「そのまま、そのまま…」
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                写真:(www.traveller.com.au)
蛇足的まえがき】
 かつてヌエバ・エスパーニャと呼ばれた、スペイン帝国最大の植民地であった、メキシコでは、衣食住に関するビジネスは未だにスペイン人に牛耳られている。ビジネスのオーナーたちは、祖国から優秀な若者を呼寄せて、社員として働かせた。新入社員の最初の仕事は先輩セールスマンのカバン持ちとして、地方回りを経験することだった。やがて、ある地域のセールスを担当することになる。こうして「小話」のようなエピソードが起こるのである。
 
 すでに何度も紹介したが、昔も今もメキシコではヨーロッパ直輸入の白人男性がモテる。
混血にも肌色の濃淡があるが、一様にもっと「白い子」を産みたいと願って、女性の方から夜這いを仕掛けるところがメキシコ的で「いじらしい」ではありませんか。
53年前のオリンピックMEXICO68の際、メキシコ娘たちがオリンピック村に大挙して夜這いを仕掛けたのは有名な話である。そして、白人男性はカフェオレ色の娘を好むのである。
さて、地方回りのセールスマンの車が、人里はなれた広大な草原を通るハイウエイでエンコして、ようやく見つけた一軒家に一夜の宿を求める小話は、定番中の定番ではあるが、この小話はCaton教授作だけあって、あっと驚く為五郎的展開が待っている。
では、下記のメキシコ小話をお楽しみください。  (テキサス無宿記)
 
一笑一若・メキシコ小話「そのまま、そのまま…」

 地方回りのセールスマンは車が故障してしまったので、ハイウエイ際の牧場で一夜を過ごさざるを得なくなった。
山ほどあるこの種の小話と同様に、牧場主は年頃の「ひなにはまれな」という形容詞がピタリの、すこぶる付きの美貌の、娘さんとの二人暮らしだった。

 夕食のテーブルで一緒に並んだ、小麦色の肌の牧場には似合わぬ、娘さんの初々しい魅力に女好きのセールスマンは大いに「食欲」をそそられていた。

 というわけで、夜も更けたころ、男は娘さんの寝室へ向かった。運よく鍵はかかっていなかった。

 驚く娘さんを言葉巧みに説き伏せるや、男は娘さんにいにしえから今の世にまで続く、「愛の儀式」を執り行い始めた。
やがて、儀式に夢中になっている男は、臀部につめたい異物が突き付けられたことに気が付いた。

驚いて振り向くと、そこには銃をかまえた牧場主、即ち娘の父親が立っていた。
「そのまま、そのまま、セールスマン」と父親は命令した。

「君が娘に結婚を約束するのを聞くまで、俺はお前に銃口を向け続ける。
君が娘と結婚すると約束すれば、生きてこの家から出られる」と牧場主は言った。

お後がよろしいようで……。