アメリカ便り青グラデーション

「おじいちゃん、戦争中日本人は酷いことをしたんだね(下)
            いわゆる「従軍慰安婦問題」である

           慰安婦問題 二つ否三つの朗報
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               写真:(www.twitters.com/)
 慰安婦問題を書いてきて、いい勉強になった。上記の朝鮮の新聞広告に記されているとおり、慰安婦は新聞紙上の求人広告で募集されていたこと、月収300円以上の高給取りであったことが分かった。秦教授、ラムザイヤー教授の著書により、彼女たちは慰安婦、即ち娼婦ではあったが、雇用主であった売春宿主人との間で年季奉公という契約の下に採用されたのであり、強制連行がウソであることも分かる。性奴隷とは真っ赤なウソである。
このような「慰安婦の真実が米国にとって不都合な真実であること」も明瞭になってきた。
 今回は、それでは今後、日本は慰安婦情報戦に臨んで、いかに戦うべきか?」を考えてみたい。

前号まで、アメリカにおけるきびしい慰安婦問題をレポートしてきた。その間、日本では遅いが着実な成果が二つ現れたのは朗報と言える。それは、慰安婦に関する最高裁判決と教科書検定に関する成果、そして更にもう一つ米国発の朗報もある。
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 一は2020年11月18日、ジャーナリストの桜井よし子氏と麗澤大客員教授の西岡力氏の執筆した雑誌記事によって名誉棄損を受けたとお二方を提訴した植村元朝日記者の裁判において、最高裁判所が原告の上告を却下する最終判決を下したことである。
実に5年間に及ぶ裁判が決着し、捏造記事を書いた、朝日新聞記者の敗訴が決定した。
 札幌で行われた、1,2審では、被告側は二人の弁護士のみだったのに対し、朝日記者側には100人超の弁護士が手弁当で駆けつけた、というからこれはもう一種の政治運動と言えるだろう。翌日の新聞各紙は、何故か大方社会面のベタ記事扱いだったが、改めて司法が一連の朝日新聞の慰安婦報道の作為と過誤を認めた意味は重い。

「従軍慰安婦」は吉田清治のうそまみれのでっち上げから始まった事件である。私の第二の故郷メキシコでこんなことをすれば、非国民として糾弾されること請け合いである。吉田清治著の小説「私の戦争犯罪」をあたかも事実として喜々として外国人に触れ回るバカ者が何故こんなにも多かったのか、浦島太郎である私には理解が出来ない。それにしても、桜井、西岡両氏が裁判に勝った意義は大きい。

            慰安婦問題に関して、もう一つの朗報がある。
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                写真:(www.niconico.com)
 政府は3月27日の閣議で、慰安婦問題に関して「従軍慰安婦」との表現は適切でなく、単に「慰安婦」という用語を用いるのが適切だとする答弁書を決定した。先の大戦中に行われた朝鮮半島から日本本土への労働者動員について「強制連行」との表現が不適切だとする答弁書も決めた。いずれも日本維新の会の馬場伸幸衆院議員の質問主意書に答えたものである。閣議決定は内閣の意思決定であるから、その意味は重い。因みに河野談話は官房長官談話に過ぎず「閣議決定」されていない。

 この閣議決定が出る、5日前、参院文教科学委員会で、自民党の有村治子議員が、荻生田文科相に次のような質問を行っている。
「政府は『従軍慰安婦』の語句に向き合う定見がなく、明確に否定してこなかったことが教科書に載り、事実に基づかない情報が世界各国に広がり続けている一因である。政府としての統一見解、揺るぎない原則を打ち立てることを提案する」。思わず拍手したくなる言葉である。
これに対し文科相は「ご提案については真摯に受け止める」と応じ、その通りになったのである。

 慰安婦問題に対する、桜井、西岡両氏の勝訴と「従軍慰安婦」の表現は不適切である、との政府の見解は国際情報戦において「ようやく外堀を埋めた」という段階だが、それでも、反撃ののろしが上がったことは上出来である。
とはいうものの、30年間続く慰安婦問題は日本国内でさえ、こんな具合なのだから、外国で「反撃の狼煙を上げる」のは容易なことではない。
そして、第3の朗報とは「米国の強力な援軍、ラムザイヤー教授の著書」である。これは巻末でご紹介したい。

               14年かかったJAP道路名の変更
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               写真:(www.hirosaki.net/familystories/mayumi)
 そこで、米国において、日系二世諸氏が勝ち取った、「日本の名誉と尊厳に関する事件」を語ることによって、「慰安婦問題」攻略について考えてみたい。
グレンデール市の慰安婦像撤去に関して、日本総領事館は一切関与しなかったそうである。また、日系米国人の方々も応援してくれなかった、という。
 実はアメリカ便りは2014年1月、テキサスで実際にあった、「日本の名誉と尊厳に関する事件」を取り上げたことがある。アメリカ便り「JAP通り名を変えたサンドラ先生 上下」である。これはテキサス州の片田舎にあった、「JAP 通り」は日本人を差別する言葉であるからとして、道路名の変更を初めは連邦、後に郡政府に要求し、14年後にようやく目的を達した、日系3世のサンドラ先生の奮闘記である。このレポートのURLを巻末に記しておきますので、よろしかったら覗いてみてください。
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                 写真:(www.avadc.org.com)
 この件は開始から14年後、元442部隊員らが会員である、日系米国人軍人協会(JAVA)とハワイ選出の日系2世のDaniel・Inoue上院議員の応援を得て、初志を貫徹できた。「慰安婦像撤去運動」もそうだが、この種の政府相手の運動を起こすときは、連邦、州、郡を問わず、米国日系人の応援が非常に重要になってくる。

 10年ほど前、日本の新聞で「最近、在サンフランシスコ日本総領事館は25年ぶりに全米二世協会と和解して手打ち式を行った」という、ベタ記事を読んで驚いたことがある。こんな状態だから、日本と日本人が苦境に陥ったときに、有力な各種二世協会の協力が得られなかったのは当然だった。

             米国二世を差別したニューオータニ
 だめなのは、外務省だけではない。今は撤退してしまったが、40年ほどの昔、ロスのリトル・トーキョーに「ホテルニューオータニ」がオープンしたときのことである。ロスの有力な二世である、大学の先輩から、「君はロスではどこのホテルに泊まるんだい」と訊かれた。
「ニューオータニです」と答えると、「今後、絶対あのホテルは使うな。我々二世はホテルニューオータニをボイコットしている」と言って、その訳を話してくれた。
 オープンに際して、オータニが従業員を募集したとき、黒人OK、メキシカンOK。だが二世、三世はNOだった。その理由は「親が移民であるから」だった。信じられない話だが、事実である。二世諸氏が怒るのも当然ではないか。移民国家のアメリカでこんな認識だから、撤退に追い込まれたのだ。

さて、テキサスの片田舎の道路名と言い、グレンデール市の慰安婦と言い、両者ともに、道路名変更、像設置許可の権限は地元の議会が持っていた。それでもテキサスの場合は「道路名変更」まで14年もかかった。しかし、「慰安婦問題」はもはや郡、市のレベルではなくなっている。何よりの証拠は、「慰安婦問題」は米国の高校の教科書に載り、全米規模の歴史学者団体までもが、中韓の主張擁護に参戦してきたことだ。

この種の全国的、連邦規模の案件を解決するためには、アメリカには二つのシステムと言うか、手段がある。いずれも連邦議会を動かすのである。アメリカの立法府の議員はlaw maker(立法者)と呼ばれる。文字通り彼らは「法律を作る人」なのである。
連邦議会を動かすことは即効薬ではないが、世界中のまともな国々が実行しているシステムである。
一つはロビー活動であり、もう一つは議会コーカス(congressional caucus)である。
単にコーカスと言えば、「議員集会」の意だが、議会コーカスはまったく別の組織である。なお、先にも書いたが、グレンデール市の慰安婦像設置を主導した、日系3世の元議員マイク・ホンダは韓国コーカスの有力なメンバーだったことから、その仕組みを学ぶことは有意義だろう。
議会コーカスを説明するには、Japan Caucus(日本コーカス)の設立事情を語るのが最速と言える。
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               写真:(www.worldtimes.co.jp)
 2010年、トヨタはテキサス・サン・アントニオ市(人口130万)にピックアップ・トラック、Tundra製造工場を建設して、現在2600名の米国人が勤務している。サン・アントニオを地盤とする、連邦下院議員のホアキン・カストロ(民主党)は米国トヨタ本社がある(あったが正しく、トヨタ米国本社は今、ダラスに移っている)カリフォルニア州選出の同じく下院議員のデビン・ニューネス(共和党)に声をかけて、多数の米国人に雇用の機会を与えてくれている、TOYOTAとJAPANを応援する、議会コーカスを作ろうではないか、と持ちかけたのである。直ちにニューネスも賛同して、日本大使館に話をつけて、2014年に60名の超党派の連邦上院及び下院議員からなる、「ジャパン・コーカス」が設立され、日本大使官邸で盛大に結成式が行われた。なお、現在の会員は102名に増えている。
そもそも、議会コーカスは「応援して欲しい側」から議員たちに話を持ち掛けるのが筋なのだが、有り難いことに、カストロは押しかけ女房的にコーカスを作ってくれたのだ。因みに、東アジア諸国は奥手の日本とは異なり、50年ほど前から、自国のコーカスを結成している。

 創立者であり、ニューネスと共に共同会長である、カストロは創立祝賀会で、JAPAN CAUCUS(ジャパン・コーカス)の目的を次のように語っている。
「我が国と日本の強固な同盟関係は国益にかなったものであることは論を待ちません。米日関係をさらに強化し、維持し続けるために働く(work)ことがジャパン・コーカス設立目的であります。大使閣下、我々を日本応援団と思ってくだい」。
 
      慰安婦の真実は、米国にとって不都合な真実である
 しかしながら、慰安婦問題でジャパン・コーカスの議員諸氏の協力を得ることは不可能である。グレンデール市の慰安婦像設置は、ある面で韓国と米国の意図、戦略が一致していたため、共闘が可能だったが、この件で米国と日本はある面、敵対しているからだ。前号で触れたが、慰安婦の真実は米国にとっては不都合な真実なのであるためである。
従って、慰安婦問題でジャパン・コーカスの議員諸氏の協力を得ることは不可能なことである。
彼らはジャパン・コーカスのメンバーである前に合衆国の連邦議員なのである。

 そして未だに合衆国の指導者層は『慰安婦問題』をフランクリン・ルーズベルト大統領が第二次世界大戦を起こしたという米国責任論に反撃するための道具と見なしているではないか。目良教授が喝破したごとく、「慰安婦の真実は実は合衆国にとっては不都合な真実なのである」。
しかも、F.ルーズベルトは並みの大統領ではない。アメリカ人が好む、歴代大統領ベスト10では、ワシントン、リンカーンと並んで常に3位以内にランクする、唯一4選された合衆国大統領なのだ。ルーズベルト神話と言われる所以である。

 孫にいわれた、「おじいちゃん、戦争中日本人は酷いことをしたんだね」の誤解を解くには、
人頼みは止めて我々日本人が可及的速やかに「河野談話」を撤回して、真実を世界に向かって発信するしかないのである。
そうしなければ、ジャパン・コーカスの議員諸氏からも、「では、日本政府はどうして、朝日記事を肯定するような、河野談話を否定しないのか」と逆襲されるのが落ちである。
長期戦になる、情報戦の過程で、在米日系人、在米同胞、日本大使館、そしてジャパン・コーカスの方々と統一戦線を構築することが必須の条件である。

        ラムザイヤー教授:「慰安婦=性奴隷説」を否定
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        ラムザイヤー教授論文の要約(産経新聞 2021年1月31日)
 今年の3月、ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授が発表した、学術論文「太平洋戦争における性サービスの契約( 原題:Contracting for Sex in the Pacific War)」が韓国人、更には米国内の歴史学者たちからも集中攻撃を受けている。
彼らは日本の法律、経済を専門とする、ラムザイヤー教授が上記論文で主張した、「慰安婦=性奴隷」否定説の撤回と謝罪を一方的に求めている。同教授は「戦時の慰安婦は、慰安所の事業主との間で多額の前渡し(前借)金や賃金、契約期間などを定めた、平時とは異なる特殊な年季奉公契約に基づいて性産業に従事していたと解説。この契約はゲーム理論でいう「信頼できるコミットメント(credible commitments)という考え方で説明されるとした。歴史論文ではなく法経済学的な論文だ。(Japan Forwardによる)

 要するに、戦時中の朝鮮人慰安婦は公娼制の下で募集された公娼であって、性奴隷ではなかった、という当時の「日本の常識」が彼らの「思いこみ」と異なるため、衆を頼んで攻撃を集中させている。18才まで日本で暮らした教授は、我々にとっては力強い援軍である。

 もし日本が「河野談話」を撤回すれば、中韓はもとより、米国の指導者層からも今回のラムザイヤー教授への攻撃、謝罪要求に倍する、厳しい反撃が予想される。それに耐えられるのか?情報戦への覚悟があるか?それともまた尻尾を巻いて逃げるのか?
親愛なる日本の皆さん、日本の名誉と尊厳を守るために、今こそ立ち上って日本の名誉回復を図ろうではないか。慰安婦問題の真実が正確に米国に伝えられるならば、必ずやフェアプレイ精神を尊ぶ、大多数のアメリカ人の理解が得られる、と私は信じている。
「おじいちゃん、戦争中日本人は酷いことをしたんだね」ともう二度と孫たちにいわれないように……。先ずは、「河野談話」の撤回である。

 しかし、5月10日(2021年)の衆院予算委員会において、菅首相は維新の石井章氏の質問に答えて、こう答弁した。「今後の教科書検定で『従軍慰安婦』との表現は認められなくなる。だが、政府は平成5年8月の河野談話を継承する立場にあります」。
何をか言わんや!である。
(終わり)

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